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  建立したばかりの国には、未だに学園がなかった某(なにがし)の日。 ギルドと学園両方に使えるようにした、城に似た建物に呼ばれたリン。正確には、国内の商店を物色していたのだけれど。自分を探していた猫耳のギルド員に声を掛けられたのが、城に似た建物内に行く原因になったのだけれど。 「覚えてた魔力から探したから、見つからなくて焦ったよ~。」 魔力で探されたら、居住地がバレる可能性がある。 猫耳のギルド員に向けて威圧感を放つ。 「だ、大丈夫だよ~。探しさないから~、ね?」 寒いのか、ブルブル震えながら数歩離れる。 「呼んだ理由は、学園の相談だって、マスターが~。」 壁に耳あり、障子に目あり。何処で聞かれているか判らないので、猫耳のギルド員の服の裾を摘まみ、転移をする。 「いや、だから~いきなりは吃驚だよ~。」 困り顔の猫耳のギルド員は、リンが機嫌の悪い事に気付いてはいない。 「あのさ。ぼくに話し掛けないでくれるか?目立つの嫌いなんだ。次、人混みで声かけたら。頭についてる耳を削(そ)ぐから。」 不気味な程に、優しく告げる。内心のイラつきを抑えながら。 判ったのか涙目の彼女を放置し、ソファーに座ったまま苦笑いを浮かべていたギルドマスターに顔を向ける。 「教師、決まった?」 そう聞くリンに、紙の束を渡す。 その紙の束には、教師候補の名前等が書かれていた。  
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