19人が本棚に入れています
本棚に追加
/101ページ
建立したばかりの国には、未だに学園がなかった某(なにがし)の日。
ギルドと学園両方に使えるようにした、城に似た建物に呼ばれたリン。正確には、国内の商店を物色していたのだけれど。自分を探していた猫耳のギルド員に声を掛けられたのが、城に似た建物内に行く原因になったのだけれど。
「覚えてた魔力から探したから、見つからなくて焦ったよ~。」
魔力で探されたら、居住地がバレる可能性がある。
猫耳のギルド員に向けて威圧感を放つ。
「だ、大丈夫だよ~。探しさないから~、ね?」
寒いのか、ブルブル震えながら数歩離れる。
「呼んだ理由は、学園の相談だって、マスターが~。」
壁に耳あり、障子に目あり。何処で聞かれているか判らないので、猫耳のギルド員の服の裾を摘まみ、転移をする。
「いや、だから~いきなりは吃驚だよ~。」
困り顔の猫耳のギルド員は、リンが機嫌の悪い事に気付いてはいない。
「あのさ。ぼくに話し掛けないでくれるか?目立つの嫌いなんだ。次、人混みで声かけたら。頭についてる耳を削(そ)ぐから。」
不気味な程に、優しく告げる。内心のイラつきを抑えながら。
判ったのか涙目の彼女を放置し、ソファーに座ったまま苦笑いを浮かべていたギルドマスターに顔を向ける。
「教師、決まった?」
そう聞くリンに、紙の束を渡す。
その紙の束には、教師候補の名前等が書かれていた。
最初のコメントを投稿しよう!