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  「 … 魔力だけが高いだけでコントロールが悪い自意識過剰な男は、正義感だけ強いけれど異性の感情には鈍い。問題を起こしても、自分が悪いと気付かない。こういうタイプは、迷惑この上ない。魔力も高くコントロールも良いが自意識過剰な男は、正義感なくても異性の感情には鈍い。問題を起こしても、誰かに責任転嫁しそうだな。 … 国内出身者にすれば良いのに他国の者を推挙する理由は?」 紙の束を一枚一枚捲(めく)り、目を通した後に聞く。 「他国の者が魔力あるし知識豊富だったからっていう理由じゃ駄目かい?」 そう聞く、ギルドマスターに対する眼差しは冷たくなる。 「ただ戦闘したいだけなのでは?知識豊富だからといって、教師向きとは限らない。学園では、知識だけで教える場所じゃない。将来、親の跡を継ぐ者、ハンターギルドに行く者、商業ギルドに行く者、色々ある。それらも含めて、戦闘訓練と知識と武器の種類と一人でも生きていけるような知識も教えなければならない。甘えがあるから家で教えても忘れるだろうし。この国を担う者を育てなければならない。上辺(うわべ)だけの正義感なら要らない。」 リンの説明に、ギルドマスターは悩む。 確かに、そうなのだろうけれど。 「それに、そういう他国の者は、獣人に対する差別とかはないの?」 その言葉に、ギルドマスターは驚いた表情を浮かべる。 「忘れてた!」 ギルドマスターの、あまりのうっかりさに、失望していくのが判る。 所詮、この世界の者は頭脳戦をやらない。獣にあるのは、本能と知識。人になると、更に理性もある。 頭を使わないから、科学は進歩しない。  
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