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  更に、その後に森に戻れば、先程会った天使がいた。神から聞いたらしくて。 「他の神様からも聞いてて、会ってみたくて。」 何を聞いたのか判らないのだけれど。 神が教えたのなら仕方ない。何か考えがあるんだろうから。何も考えてなかったら、先ず背中にあった翼から羽根を幾枚か毟(むし)ろうかな。 世界樹の前の原っぱに、ハウスから運んで来た物を置く。それは紅花に似た花で橙色に染まった座蒲団を敷いた木製の座椅子二つ。使い魔達用にも、同じ色の座蒲団を敷いた木製の座椅子を一つ置く。世界樹を眺めながら座椅子二つを並べて、隣同士になった座椅子との間に、ボックスから木製の盆を一つ出す。盆も座椅子も座蒲団も、リンのお手製。その盆に、ボックスから深めの木皿と硝子製のカクテルグラスを二つ取り出して、ボックスから更に幾つかタッパーを取り出す。タッパーだけは、創造魔法で出した物だけれど。そのタッパーの蓋を開ければ、中にあったのは数種の漬物。別のタッパーには、和菓子が入ってあった。 カクテルグラスに、ブルーベリーに似た青紫の果実をシロップ漬けにし軽く汁気を切ったものを一粒ずつ菜箸で摘まみ入れる。残ったものは、タッパーの蓋に置く。次に、シロップ漬けの果実が入ったグラスに同じくブルーベリーに似た青紫の果実をシロップ漬けにした時に残るシロップを注(つ)ぎ入れてから、シュワシュワと泡が弾く炭酸水を入れる。この炭酸水は、この世界にもあるが炭酸がキツく味も少し苦い。 然し、甘いシロップと合わせれば、甘酸っぱい飲み物になる。リンは、下戸(げこ)なので使い魔達との晩酌に同席する際は、この甘酸っぱい飲み物を作る。  
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