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  甘酸っぱい飲み物は、販売もしている。その飲み物を天使と飲みながら、肴に漬物や和菓子を食べながら、世界樹に聞こえるように話す。ギルドマスターへの悪口を含めて。 基本的に悪口陰口は嫌うリンだが、ギルドマスターへの鬱憤は溜まる一方で。勿論、あの猫耳のギルド員にも腹が立っているが。 「あの、ギルドマスターってさ。声からしたら、女なのは判る。ギルドマスターが女ってだけで、妬みとか不満とか持つギルド員とかいるのも予想出来るけどさ。戦闘狂がギルドマスターってのは、不味いんじゃないの?集まりでも、そういう話とか聞かない?」 リンの愚痴混じりの問いに、天使は苦笑いを浮かべる。 「確かに、聞くかな。もう少し戦闘好きを抑えて欲しいみたいだけど。本人も、ギルドマスターという職をやりたくなかったみたいで。適任者がいないみたいで。」 天使はそう言って、シロップ入りの炭酸を一口飲む。感想は聞かなくても判る。目を細めて満足そうに微笑むのが、リンの視界に入ったから。 <大変そうね、リンも。塩の件は、助かってるの。皆、嬉しそうに持ってくから。> そう世界樹は、話す。 塩の粉末を入れた硝子製の箱は、隣の、森に住まう生き物達にと作ったハウスにも置いている。 「喜んでくれるなら何よりですよ。適任者 … 吸血鬼の中にいない?女にも男にも化けれるし、寿命長いと色々経験しているだろうから。」 経験。年齢だけでなく、対人との交流で積み重なる感覚。行為。物事。そして、考え方も。経験により変わる物は、幾つもある。  
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