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  後日談。教員候補の中にいた吸血鬼の始祖の身内にギルドマスターに適任とし、彼女と交代したらしくて。交代後(ご)の彼女は、嬉々として羽を伸ばしていたらしくて。 一方で、リンは天使や世界樹や可愛い使い魔達に諭されていた。この世界でリンを産んだ両親に会いに行くように、と。 可愛い仕草で擂(す)り寄り、首を傾けた使い魔いや仔猫達にノックダウンされた、いや根負けしたリンは、一度だけ会いに行く事を承諾した。 善は急げと、翌日行く事に決まってしまったのだけれど。   翌日の昼頃。混雑している商店街の中に、橙色のローブを羽織った少女がいた。顔の上半分を覆う白い色の仮面をして、紅花に似た花で染めた橙色のローブを羽織っていれば、かなり目立つのにも関わらず誰も見ない。気付かない。髪色は漆黒に似た色をして、艶やかな柔らかな髪。金色の小麦色よりも薄く、美白の美肌をした顔は、リンだった。 ずっと、ローブを羽織っていた。店内でも、外にいる時も、ローブ姿でフードを被っていた。森では、木陰が多い為強い陽射しはなくて、それでも創造魔法で出した日焼け止めは塗っていたけれど。魔法を駆使しながら、鍛練もしていた。物作りには体力も使った。口にする食材も、野菜が中心で。勿論、魚や肉も食べてはいるが暴飲暴食ではない為、最初瓢箪型の体型だった身体は次第に健康的に痩せていく。 そして、本人も驚く程にスマートな体型に痩せていた。括(くび)れもある。出る所は出ている。脂肪の代わりに、筋肉がついた為か。脂肪は動けば燃える。燃えれば脂肪は溶ける。溶けた脂肪の代わりに、筋肉がつく。筋肉は脂肪の代わりに内臓を身体を支える。年齢を数えていない為、家出した当初は確か15歳だった記憶がある。  
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