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  リンの中で、一つ蹴りが付いた事。一方的な絶縁状を出し、家出という逃走をして行方不明という形で片付けていた事。いや、有尓無尓(うやむや)にしてた事になるのだろう。責任転嫁。丸投げ。 結果論として。ただ、貴族という生活から環境から離脱したかっただけなのかも知れない。妹の事も放置すれば、強いて問題にもならない事。怠慢な生活から物作りという自給自足な暮らしを、潜在的意識ではしたかった事なのかも知れない。 ベッドの中、リンは考えていた。自分の中の問題を、正面から見据えて。 貴族としての自分は、瓢箪体型で肥満児で我が儘な小娘。自給自足している自分は、スリムだが頑丈で体力もある体型で肥満児から脱却している。性格は、我が儘というより面倒臭がりな餓鬼(がき)。 妹より欠落しているのは、見た目の『美しさ』と二枚舌。セクシーな一面とフェロモン全開のスマイル、佇まい、容姿端麗。妹に負けたくないと思う反面、妹を見習おうとしなかった。妹は、鏡。女を磨かずにいた自分の落ち度。認めないといけないのに、受け入れ難くて。妹は、永遠のライバルというモノなのだろう。 そう考えても、貴族の生活には戻らない。 妹が貴族として生きれば良い。 貴重な睡眠時間を少し費やした一夜。絶縁状を出し、再会も考えていなかった両親と久方振りの会話。何故家出を選んだか。何故絶縁状を出したか。何故気持ちとか言わなかったか。口にしなければ伝わらなかった思いや気持ちを、素直に吐露した夜。今も確と覚えている。 初めて、親子の会話を実感した気がした夜だった。  
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