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  リンには、もう一つの問題が生じていた。 婚姻問題。 この世界の婚姻は、自由。同性愛も受け入れる為、同性同士の結婚も問題ない。早くて、学園に入る前、五歳ぐらいには婚約者がいる場合がある。貴族とか、平民とか、王族とか、関係ない。国の決まりによってもあるのだけれど、平均的に見て二十歳前には婚約者がいなければならない。例え、婚約者がいなくても、恋人ぐらい作らなければならない。晩婚の場合、かなり珍しい。 『恋』に落ちるのも早い。早々と親に会わせて、婚姻または婚約の話に持っていく。異世界の女性は、その手の話が早い。男性は、色々考えて二の足を踏むのだけれど、女性は、考えるのは後回し。ハンターのように、獲物を逃がさない。ロックオンした獲物いや男性は、早く手をつけないと別の誰かに取られてしまうから。 リンは、未だ結婚とか婚約とか考えていない。伴侶になる者の選別は、最終的にリンが決める事。だが、両親は焦る。本人は全く焦っていないのに。 貴族ではなくなった両親だが、やはり見栄を張りたいもの。貴族での婚約は、家を進化させるもの。王族での婚約は、国を強化するもの。平民での婚約は、絆を深めるもの。未だ貴族の感覚が抜けきれない両親とリンとの間は、まるで嵐の前の静けさそのもの。  
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