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  「お父様、お母様。私は、婚約または婚姻で生活を狭くさせたくはありません。制約に縛られたくはありません。お父様。もう貴族ではなくなったのです。お母様。見栄を張ろう等と思わないでください。伴侶は、私が見つけます。最終的に決めるのは、私です。婚約も婚姻も、私がすべき事です。お父様、お母様。勝手に相手を決めよう等と思わないでください。もし万が一、勝手に相手を決めたらば … 神様に頼んで記憶消して何処かに飛ばしますから。」 それでも、両親は諦め切れない。 娘を幸せにしたい。孫が見たい。どの親も、考える事は同じ事。家系図がツリーの根と同じなら、自分と同じ根の孫が欲しいもの。 自分達が生きている間に、孫に与えたいものがある。愛情以外に知識だけれど。 リンの言い分も、判らないではない。若い頃の自分もまた、婚姻とか婚約とかに全く興味を抱かなかった。婚約者が現れても、勝手に決められても、相手を愛す気はなかった。親が決めた相手との婚姻を勝手に白紙にして、見つけたのが今の伴侶。 強引に決めつける親と同じ事をしている。 認めたくはない事実。そして、同じ過ちを娘にさせようとしている。これもまた認めたくはない事実。 頭では判っているつもりでも、やはり親は親。気になって致し方ないもの。当のリンは、忘れている。全く興味のない話をズルズルと引き摺(ず)る気等ない為だけれど。  
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