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「ねえ、春人くん――例えばだよ、愛する人が他の誰かの物だと知った時、君ならどうする?」
すっかり冷めてしまった紅茶を僕は一気に飲み干した。
「知ってしまったらというのは……?」
「人づてに聞くとかじゃなないよ。見ちゃうんだ。自分の目で――2人が睦み合っているところを」
例えばなんて言ってるくせに――。
あまりにもリアルな設定に、篠宮春人は怪訝そうに眉をしかめる。
「そうですね僕なら――その場は見て見ぬふりを」
「後から復讐する口?」
冗談めかした僕の口調につられて
春人の口元もほころんだ。
「聞こえが悪いですよ。一旦引いてどうすべきかじっくり考えるんです」
「――なるほど」
僕だってそうすると思ってた。
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