一話

仲の良い人、悪い人

｢ねぇ、晴.......｣
｢何.......？｣
｢俺と、別れよっか......｣
え？まだ、何も楽しいことしてないのに？思いでも作れてないのに？どうして？俺、何か悪いこと、した？
｢裕也......どうして？｣
｢晴は、俺と付き合って不安ばかり背負ってきてるんじゃないかって思ってさ。そう思うと、別れた方が、楽なんじゃないかなって........｣
｢っ.....！｣
確かに、色々な不安は有ったよ。
でも、これとそれでは話が別で、裕也と別れたからって何が変わるのさ......
｢........裕也｣
｢何？晴。｣
｢俺が、裕也と別れて、具体的にどこが変わるのさ。｣
｢変わる点か.....恋人からただの友達？ってとこじゃない？｣
｢......裕也。俺が、『はい。じゃあ、別れましょ』ったら、どうするつもり？｣　
｢晴がそう望むなら、別れるし、ただの友達だ。｣
｢俺の不安が全て裕也ってのがおかしい。どうして、全て裕也の『せい』なんだよ。裕也にも俺は、迷惑いっぱいかけてるし、不安だってかけてるのに。どうして、一人で悩んで一人で結果を出すのさ！｣
｢......相談したら、気持ち変わりそうで....｣
｢そうやって、何もかも相談しないで一人で大事な事答えを出して、それを俺に突きつけた訳？｣　
｢.......うん。｣
｢俺も、人の事言える立場じゃねぇし、あんまり偉そうにもの言えないけど、それは間違ってる。｣
｢.......うん。｣
｢自覚してるなら、何故相談出来なかった？そんな大事な事一人で決めれるなら俺は、何のために居るの？｣
｢.......それは.....｣
｢裕也一人で決めれるなら決めたら良い。でも、決めれない問題がいくつもこれから数えきれない程出てくるよ？それでも、裕也一人で乗り切るの？｣
｢.....絶対無理....｣
｢俺は、裕也に頼られる人になりたいな。｣
｢.....こりゃ、晴に１つ取られたな。｣
｢裕也が、悪いくせに。｣
｢それと、裕也。俺、裕也と別れる気一切ないから。｣
俺は、やっと、自分の思いを裕也に伝えられた気がする。