第1章

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これは、俺がまだ幼い頃・・・ 「やめて!!」 「てめぇは誰の稼ぎ食わせてもらってんだよ?!」  「俺の稼ぎで食わせてやってんだろが!」 俺の父親は、パチンコ、競馬、麻雀、などにハマり、挙げ句の果てには生活費までも注ぎ込んで溺れていった。 俺は、願った。 いつかは出ていくだろう!と言う希望を胸に近所では笑顔を見せていた。 近所で笑顔で居られるのも長くは無かった。 終わりを告げたのだ。 離婚だ。 父親は出ていかず、母親が出ていき置いてかれた俺は、母親の変わりに暴力を受けていた。 この時からだろう、誰にも心を開こうとしなくなったのは。 だから少し、裕也が羨ましかった。 願っても叶わないと分かっていたからこそ何も願わなかった。願おうとしなかった。 裕也は俺が持っていない物を持っている。 「っち!ハルっち!」 「はっ!」 「大丈夫かよ?!」 「あ、あぁ。」 「顔色、悪いし....」 「心配無い。」 「嫌、心配だから、俺の家に行こう。」 「は?」 「ここから、近いから」 「良いよ、自分の家に帰るから......」 なんて、裕也が俺の話を聞く訳無く、裕也の家に着いた。 あのカフェからものの5分程の近さだ。
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