終章

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「ねえねえ、そこに植わってるアサガオの種ももらっていい?」 「ああ、これはアサガオじゃないの。昼に咲くから、ヒルガオって言うんだよ」 「ヒルガオ?」 「そう。可愛いでしょう?」  そう言って、彩はにこりと笑う。  すると、今度は少女と同じ顔と髪形をした、赤いワンピース姿の妹らしき女の子が、とととっと彩の元までやってきた。  そして、彩を見上げて胸を張りながら自慢げに話しだす。 「ちぃちゃん、花言葉知ってるもん。花言葉、『ちぃちゃんを見てる』っていうの。ママが言ってた」 (ああ、そうか。ひまわりの花言葉は確か『あなたを見てる』だっけ) 「ママの言うとおりだね。ひまわりはみんな、ちぃちゃんが大好きなんだよ」  可愛らしい幼子の言葉に、くすりと笑う。 「そうなの。ちぃちゃんもひまわり好き。ねえ、これは? ピンクのお花の花言葉は?」  大小同じ顔をした女の子が、同じ興味津々な表情で聞いてくる。  違いは、ふたりの背丈と前髪を結った妹のちょんまげだけ。 「ヒルガオの花言葉? えっと、確か……」  言いかけたとき、今度はひまわりの種を両手いっぱいに持った少年が駆け寄ってきて、 「ねえ、せんせー、今日お花屋さんは?」  と、尋ねてきた。  その言葉に、子供たちは一斉にこちらを振り向く。  ふたりの少女も、わくわくと期待のこもった眼差しをこちらに向ける。
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