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「…そんな人………あたし、覚えてない…」
どう答えたって、無駄かもしれなかった。
だけど…
そう答えて、家を出るしかなかった。
駅へ向かうまでのいつもの道を、どう歩いたのか覚えてない。
ぼーっとしすぎて、横断歩道の青信号を何度か見送った。
駅についてからも、階段から足を踏み外しそうになったり。
違う電車に乗りそうになったり。
どういうこと…
あたしは、何度も何度も考えた。
あたしのパパは、再婚。
十二歳年下のママを見初めて、半年くらいのお付き合いで結婚した。
ママは、すぐに妊娠して…
あたしが生まれて…
パパに子供がいたなんて、聞いたことない…
あたしに、きょうだいがいるなんて…
サト君はあたしより八歳年上。
二十七歳。
パパは今、五十五歳だから…
ありえない話じゃない…
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