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「サト君…ドライブ行こ?」
「そうしようか」
あたしは、サト君と一緒ならどこでもいい。
車列を抜けて、車は一気に加速した。
「そういえば美緒、振袖持ってる?」
混雑から離れた頃、サト君に聞かれる。
「うん。昨年、作ってもらったよ。
まだ一回しか着てないけど」
「そっか…
見たかったな、美緒の着物姿」
急にそんなこと言い出したのは、着物姿の人がちらほら歩いていたからかな。
「ぅん…じゃあ、来年ね」
……来年まで、今の関係のままでいられますように…。
そんなことを思いながら、あたしは言った。
「…そうだな………
美緒はほんとに大事に育てられたんだなァ。
オレ、殴られる覚悟しておかないとな」
「……パパ、そんなことしないと思うけど」
「そうかなー?
分かんないよ、豹変したりするかも」
言いながら、サト君は笑ってる。
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