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「ちょっと....話そうか?」
先輩はこちらへ近づいて、焦ったように笑った。
「あ、えっと....俺、」
「ねぇ、いいでしょ?」
有無を言わせない強引な人
昔と同じ。
「少しなら....」
ぼんやりした頭の中で、いつの間にか了承してしまっていた。
すると、俺の歩幅に合わせて歩いてくれる先輩
幼さが抜けて、色っぽくなったと思う。
今も変わらず、モテるんだろうなぁ....
連れてこられたのは、落ち着いた雰囲気のカフェ
照明はオレンジの光で、薄暗い。
初めて先輩とお茶したときも、こういう雰囲気のところだった。
懐かしいな
「ホット2つ」
「かしこまりました」
バイト店員が去ったあと、形のいい口は開いた。
「三年ぶりだね」
「そう、ですね」
「....ごめんね、何も言わずに行って」
「いや、仕方ないですよ。先輩大変だったんでしょう?」
「うん、まぁ....ね」
社交辞令みたいな話は沈黙に終わる。
いろいろ話したいことはたくさんあるのに、何を言ったらいいのかわからない。
俺たちを一夜の関係というのかはよく分からないけど、もう三年も連絡すらしてなかったのに、今更そんなこと聞いていいのかとか、俺って女々しい。
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