第3話 結婚の誓い

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Q子「時代が違うよ。結婚できないと食べていけない、みたいな切羽詰った時代じゃないし、親とか他人に押し付けられて、ってことじゃないわけでしょ?  誰とでも恋愛できるし、誰とでも結婚できるこの自由な時代に、なんでまた、知り合ってもいない、それも出逢ってさえいない相手と結婚しなきゃいけないわけ?」 A子「しなきゃいけない、ということじゃなくて、結婚したい、と覚悟を固めた二人が、偶然に導かれたにせよ、意図的に、企画して出逢った、っていうことよ。 伴侶と共に支え合い、結婚を互いの人生にとってのプラスにしよう、という果敢な決意ある二人がネットで出逢った、ということだわ」 Q子「でもさ、ネットやパワポ上の釣書きでしか相手のことを知らないわけでしょ? それがどうして瞬時に恋に発展して、結婚までしちゃうわけ?」 A子「そこを描きたくてこの小説が書かれたわけ。 愛川耀の小説は「運命の相手」との出逢いを書いたハッピーエンドものが多いの。 ずっと一緒にいてある日気づく愛もあれば、徐々に育まれる恋もあるし、一目惚れがあるみたいに、ネットのやり取りで一瞬にして芽生える愛もあるということ。 昔から文通愛、そして最近はメル友愛があるぐらいだから、大いに信じられると思うけれど」 Q子「残念ながら、そういう経験はまったくないんだけれど」 A子「それはさ、心が開いていないから、ってこと。愛川耀の婚活小説『ディナー・クラブ』で、心理学者がそのあたりを説明している。 人間、この人と連れ添って仲良く生きて行こう、とさえ思えれば、本当は結婚して楽しく暮らしていける相手はたくさんいるらしい。 でもチョイスはいっぱいあるし、とか、まだいいや、とか眼移りしているうちは、この相手をこそ尊敬し大事にしよう、とか、縁あって結婚したからには一生相手のことを思いやろう、とか覚悟が定まらない人が多いわけ」 Q子「覚悟、って言われてもねえ・・」 A子「だからさ、この小説の中では、敬一が「人を愛したい」と自覚して「嫁募集」という具体的な行動を起こし、好美が「一緒に二人だけの正解を作っていきたい」と応じたところがキーだと思う。 男性は必要とされることによって自信や責任感が増して、人生の目的もはっきりして男らしくなるわけ。  
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