2/3
1人が本棚に入れています
本棚に追加
/3ページ
「めパァあぁぁん」 間抜けな断末魔が響く。 私の手を離れた赤黒い渦が、無駄に可愛らしい頭部を捻切り吹き飛ばした。 頭のなくなった筋肉質な巨体は、ゆっくりと倒れて、崩れ落ちて。 「おやすみ。もう、ゆっくり休んで良いのよ」 ずっと一人で宝箱を必死に守っていたらしい。 ……中身が空っぽだと知らずに。 「箱の構造が良くなかったの。封印術式が甘過ぎた。隙間を抜けて、奴は出ちゃったんだから。貴方のご主人様がもっとちゃんと」 確認の意味を込めて、とりあえず宝箱を開けてみる。 「……」 可愛いトムソンガゼルのぬいぐるみさんがコンニチハ。 おや、おやおや? 「えっと、メルゼストリート六番地、夜猫亭を右に抜けて真っ直ぐ、深酒森の双子大樹を」 双子大樹を左。 左、HIDARI、ひだり……あああああ。
/3ページ

最初のコメントを投稿しよう!