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「めパァあぁぁん」
間抜けな断末魔が響く。
私の手を離れた赤黒い渦が、無駄に可愛らしい頭部を捻切り吹き飛ばした。
頭のなくなった筋肉質な巨体は、ゆっくりと倒れて、崩れ落ちて。
「おやすみ。もう、ゆっくり休んで良いのよ」
ずっと一人で宝箱を必死に守っていたらしい。
……中身が空っぽだと知らずに。
「箱の構造が良くなかったの。封印術式が甘過ぎた。隙間を抜けて、奴は出ちゃったんだから。貴方のご主人様がもっとちゃんと」
確認の意味を込めて、とりあえず宝箱を開けてみる。
「……」
可愛いトムソンガゼルのぬいぐるみさんがコンニチハ。
おや、おやおや?
「えっと、メルゼストリート六番地、夜猫亭を右に抜けて真っ直ぐ、深酒森の双子大樹を」
双子大樹を左。
左、HIDARI、ひだり……あああああ。
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