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マイ「なんだか歩きづらくなってきたね」
ユウ「うん、いつのまにか目的の山の中に入ってたみたいだ」
マイ「じゃあ夜になったらまたキラキラ光るのかな?」
ユウ「多分ね、よく見たらこの辺の砂も光ってるし。」
僕は地面の砂を掴んで持ち上げるとパラパラと地面に落としてみると、キラキラとまるで宝石の粉のようにキラキラと光っていた。
マイ「本当だ、よく見ると光ってる。」
マイは砂の粒を指で摘まむと空に透かしてみた。
そして何かに驚いたかのような表情で固まった。
どうしたんだろう?僕も彼女の視線を追いかけて空を見上げた。
空には星、しかし先ほどとは大きく違っていた。
さっきよりも星がよく見える、光の粒が大きく、そして目を凝らさなくても満天の星空が見えるほどに星の輝きが増していた。
星の粒は大きくなり、太陽の半分くらいのものまである。大きな光の粒が素早く僕らの真上を横切り、マイはそれを見るとあわてて何かを祈りだした。
手を離し、パッと目を開けたマイは満足そうに笑う。
マイ「次産まれる世界もこれくらい不思議で素敵で楽しい世界だといいね。」
ユウ「うん」
空を見上げながら僕はこの世界の終わりについて考えていた。
終わりに向けて世界が輝いている。
僕は無意識のうちにそう捉えていた。
終わりに向けて最後の輝きを放つ準備をしているんだと。
もしかしたらそれは僕らへ何かを伝えているのかもしれない。
きっとこの世界は生きているんだ。
命の終わりは世界の終わり。
最後に一度だけ眩しいくらいに輝いて、消える。
もしかしたら、いやきっと世界の終わり、終末の瞬間は僕が想像してる以上に不思議で、幻想的な景色に違いない。
考え出すと胸から熱いものが胸の奥を包み込み、
バクバクと心を踊らせた。
ユウ「行こう。」
僕はマイの手を強く握ると先へ進みだした。
少し早めのテンポで、彼女は僕の気持ちを察してくれたのか僕のテンポにあわせてはや歩きでついてきてくれた。
もしかしたら彼女も始めから同じ気持ちだったのかもしれない。
ずっとワクワクしていて、でも一人で 終わりを迎えるのは怖かったんだろう。
不安で、寂しくて、だから僕を見つけてとても嬉しかったんだろう。
僕も、マイが起こしてくれなかったらこんな素敵な景色を見ることはできなかったはずだ。
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