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「新しい情報が入ったよ。
紋傀 剛が本家に来るらしい」
「へー……何かあるのかしら?」
ソファーに深く体を預け、読書をしていた女は部屋に入ってきた男の話に相槌を打ったものの顔も挙げない所を見ると、さほど興味がなさそうだった
「さぁ……『彼女』の能力開花に関係があるんじゃないのかい?」
そんな彼女の反応には気に止めた様子もなく、肩を竦めながらその後ろ側に立つ
「落ちこぼれで有名な本家のお姫さまネ」
そこで、やや視線を上げて思い出すような素振りをして小さく嘲笑気味に呟いた
男は女のコメントに苦笑いしつつも懐かしい物でも見るかの様な目をしてみせる
「……会いたいな。丁度『約束』の事もあるし……」
男が想いに耽って呟いてみせると、女は読んでいた本を片手で閉じ、うんざりした表情を浮かべ振り返る
「アンタ、あんなバカげた約束、本気だったの?あっきれた!馬鹿馬鹿しい……あっちは絶対忘れてるわよ。彼女にとったらアンタなんて眼中にすらないもの。覚えていたとしても勝ち目あるの?」
女の遠慮無い言葉と質問に、苦笑を浮かべて首を振る
「全く無いよ」
男は肩を竦めて答えたが、しかし、続きがあった。「だけど」と話を延ばす
「勝算は作るものだ。時期は来たんだよ。『彼女』が動き出した……僕も準備を始めないと……」
男は女に告げながら視線を下げて反応を見たが、答えは至って殺伐としていた
「はんっ!勝手にしなさいよ、私は興味無いし」
あくまでも、女は傍観に徹底する事を強調すると、追い払うような仕草を向けた後、居直って再び本を開いて読書へ戻った
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