存在10%

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小野side in 酔ってたせいだろう、俺はあいつの一言で一気に頭に血が上った。 いつもだったらこれくらいでキレることなんてない。 だからいきなり立ち上がったあいつの腹めがけて思いっきり拳をめりこませたことに俺自身驚きだ。 何せ、喧嘩は不良やめてからしないと心に誓ってたんだからよ。 「貴様何様だコラ!! そんな独りでいることがカッコいいとでもおもってんのかコラ!? 答えろやボケ!!!」 もう自分が制御できなくなってしまった… あいつもされるがままで全く抵抗してこない。 こんなに血まみれなのによ… もう、こいつ殺したっていい。 何も反抗してこないやつなんか死んでしまえばいいんだ。 …生きてる価値なんかねぇよ!! 「おい、落ちつけって雄也!!」 「やめろ!!何やってんだよ!!」 そういった声もただの雑音にしか聞こえない。 この状況をみて泣き出す女子もいる。 もう誰も俺を抑えれないんだ。 ただでさえ瀕死状態のこいつを庇ってやればいいのに誰も庇おうともしない…更に腹が立つ!! 「ストーーーップ!!!」 やけに甲高くて太い声が耳に抜かり、俺は我に返った。 ふと声の主を辿ってみると将人だった。 「雄也、これ以上やったら警察問題だ、やめとけ。」 それだけ言って、将人はあいつの側へ行った。 警察問題… 俺はその答えにまたイラついた。 いても立ってもいられなかった俺は外へと飛び出した。 外を走って色々と思い出した。 皆、俺の方ばかりに目を向けて、あいつのことは見ていなかった。 なんで皆あいつのことを見ないんだ? 同じクラスのやつじゃないか? 確かに存在感ないやつだけど仲間じゃないか? なのになんで誰も見てやらねぇんだよ!! ふと俺は足を止めた。 そしてもう一度さっきの光景を思い浮かべてみた。 何度繰り返し思い出してみてもイライラする!! だけどそのうち怒りの他に悔しさも出てきた。 形にだけだったのか? 俺たちのクラスって!! 空はいつの間にか曇っている。 今にも降り出しそうだ。 降水確率10%という予報は俺を裏切った。 小野side out
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