存在10%

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気がつくと目の前に香賀がいた。 辺りを見回してみると、小野の姿がない。 僕のいた辺りは戦争の後のようになっている。 血痕もあるようだが、これは僕のものだと直ぐにわかった。 身体中がとても熱い。 「よかった、目が覚めて。」 香賀はホッと肩をなでおろした。 「大丈夫?一応救急車は呼んだからもうすぐ来ると思うけど。」 まだ周りはあの静まり返ったままだ。 この光景を見れば粗方何があったかは想像つくが… 「…帰ります。」 僕は一言そう言って立ち上がった。 体がすごく痛む。 「何言ってるんだよ!?重傷だぞ!?」 「これくらい大丈夫です。 帰って安静にしておきますんで。」 なんとも下手くそな言い逃れをして僕は店を出て行った。 外に出ると湿った空気が体を伝って行く。 正直かったるい。 「待って!!」 そう言って僕の方へ来る香賀。 面倒見がいいのかどうかわからないがもう相手にしないで欲しい。 今は機嫌が悪い。 「今日は悲惨だったね。 こんなことなるなら誘わなかったがよかったね、ごめん。 でも、最後くらい全員で飲み会したかったからさ。 俺、1週間後にはイタリアに行くんだ。 もう会うのも最後になるだろうと思って…。 願望叶ってよかったよ。 参加してくれてありがとう。」 意識朦朧としているからさっさと帰りたい気持ちでいっぱいだった。 でも、何か返さないとだよな… 「こちらこそ飲み会台無しにしてごめん…頑張って。」 そう言って再び歩き出した。 「その怪我だったら病院行った方がいいと思うけど?」 「行かない。」 そう言って僕は重たい体を引きずって歩き出した。 空には雨雲らしきものが姿を現していた。 バックの中には卒業証書、手には朝家から持ってきた傘を握っている。 周りの人たちは急ぎ足になっている。 僕は朝の天気予報を思い出してフッと笑った。 「やっぱり、僕には味方なんていないじゃないか。」 どうせ、あの騒ぎ誰も止めようとしなかったんだろう。 誰か止めに入っていればこんなに重傷にならなかったはず。 気を失ってた僕も悪いけど… 雨が降り出した。 みんな小走りして急いで帰っている。 その中、僕だけが傘を差してゆっくりと帰って行った。
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