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「みんな卒業おめでとーう!!
かんぱーい!!」
香賀の音頭と共にグラスの重なり合う音が響く。
そして皆一斉にグラスを口に持っていき中の液体を飲んだ。
飲み終わった瞬間、ガヤガヤ声がこの空間に鳴り響いた。
いろんな人たちがいる。
ゲームをやって盛り上がるところや、一気飲みをさせられてる人。
思い出に浸りあってポロポロ涙する人…。
すごく楽しそうだ。
なのに何で僕はここにいるんだろう。
いなくたってこの空気は変わらない。
断定できる。
変わるものか。
この空気間なんて…
そんなことを思っていると後ろから僕を叩いて来るやつがいた。
叩かれた瞬間僕は小野だと悟った。
ただいつもと違うのは手加減してないところだ。
「おい、なにボケーっとしてんだよ!!」
顔を赤く染めニヤニヤしている。
「いつものことじゃないか。
こうなることぐらいわかってただろ?」
僕はそんな言葉だけ捨てて手元にあったビールをちょびちょび飲んだ。
「お前よー、なんで俺がお前に声かけてるかわかってんの?
お前も皆の輪に入って仲良くして欲しいからだよ!!」
そう言って小野は僕の頬をつねってきた。
なんでこんな乱暴されないといけないんだ…いつも、いつも。
僕は鬱陶しくてその手を払いのけうつむいた。
「大きなお世話だ、僕のことなんかほっといてよ。」
そう言って僕はトイレに行こうと立ち上がった。
その瞬間、僕は何が起きたかわからなくなった。
さっきまで賑やかだったこの空間が急に崩れてしまい、辺りは静まり返っていた。
僕はというと、さっき立ち上がっていたはずなのにその場にうずくまって、とてつもない激痛に耐えていた。
その隣で小野は拳を握り、殺気放って僕を見下していた。
そして僕はいつの間にか気を失った。
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