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「ティルア……ティルア……!」
ティルアの名を呼ぶレンの声が艶かしい音を割って切なく響く。
「んっ……あああっ!」
レンの長い指が深いところを突いた。
身体に力みが入ったティルアの手がレンの心を鷲掴みにする。
「ああ、やっ、あああ……!」
表情が艶かしい色に変わる。
がくがくと震えながら哀願するようにレンを見上げるティルアの紅玉に、レンはごくりと息を飲んだ。
男の性というものだった。
自分の手で乱れていくティルアを、愛しい人を目に、レンの欲望に火が灯る。
「……ティルア、感じて……くれて――」
「あぁん、はあ、あ、レ…レン……」
途切れ途切れに出されたティルアの反応に、抑え付けられていたレンの枷は風に抵抗することなく舞い散る花びらのように消え失せた。
「ティルア、もっと、もっとしてあげる……」
レンの背にゾクッと這い上がった欲は、ゆっくりとティルアの中から指を引き抜き、はち切れんばかりの熱をもったそれをティルアへと突き立てていた。
「きゃああああっ! ああぁあああっ!!」
「ティルア、ああ、ティルア……っ!」
レンはもう回りが見えていなかった。
手が届くことなどないはずだった存在。
諦める他方法がなかった愛しい人が、自分の胸の中で嬌声を上げている。
甘い吐息を吐き出し、栗色の髪をふり乱し、自分の名を呼ぶ。
これまで我慢しなければならなかった義務が、枷が外れたレンの身体はティルアの身体を貪るように求めた。
「ティルア、ティルア……!」
「あ、ああああああっ、は、はぁああん、レン、レ……、だ、だめ……おねが」
ガクガクと震わせながら、哀願した願いに、レンは気づくことができなかった。
“ お願い、やめて ”
願うことすら、声に出すことすら許されない恐怖がティルアの中で大きくなっていく。
身体が揺さぶられる度、淫らな音が耳を犯し、身体を犯していく。
女性のように感じ、女性の身体で愛を受け止め感じるその姿を情けなく思い、軽蔑をもって禁止することで自我を保ってきた。
ガラスのように脆いティルアの心を支えてきたものが、レンの存在が、ティルアの脆い壁を打ち壊していく。
「ティルア、好きだ、大好きだ……!」
「―――っ、あああ、あ、あん、……お
、お母様……っ!」
ティルアの奥深いところがふるふると震える。
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