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「痛いじゃないですか!」
「うるせい!何度言わせばお前の脳は理解すんだ!?えぇ!!?」
「あ、あの…どうかしたんですか?」
おずおずと後藤に質問をする少女。
「すまんな嬢ちゃん。コスモスは秋の花なんだ。なのに…この馬鹿は何度も何度も…!」
「秋の花?なのに、何でお店にあるんですか?」
「あぁ。そこの馬鹿のお蔭さ。こいつ、花の温度調整が得意でね。」
「そうなんです。ってなわけで、コスモス御一ついかがですか?」
再び綺麗なツッコミが昴の頭部を直撃した。
「ふふ・・。じゃ、コスモスをください。」
「へ?いいのかい、嬢ちゃん?」
「おすすめ、なんでしょ?」
柔らかい微笑みを浮かべ、昴に問いかける少女。
しばし、キョトンとする昴であったが、直ぐに笑顔で声をだした。
「はい!」
少女に指定された20本のコスモスを慣れた手さばきで纏めていく。
代金を受け、商品であるコスモスを渡す。
「あ・・甘く良い匂いですね。まるでチョコみたいな。」
「えぇ。その花はチョコレートコスモス。チョコレートのような香りが特徴なんですよ。」
「チョコレートコスモスか・・。」
瞳を閉じ、甘く香るコスモスを鼻で感じる少女。
胸がいい匂いで満たされる。
「いい買い物ができたわ。ありがとう、店員さん。」
「いえいえ。またのご利用お待ちしています。」
「また来てくれよな、嬢ちゃん。」
「えぇ。また買いに来ます。」
そうして店を出て行こうとする彼女を店先まで見送る。
互いに礼を述べ合い、去っていく彼女の背中が小さくなってから店のシャッターを下した。
「ふぅ~。さて・・帰るか。」
場所は複数のロッカーがある小部屋。
先ほどの少女と同じく、グレイのブレザーの制服に着替えを済ませると後藤に挨拶するため、店内へ。
店のレジ横で、売上計算をしている後藤に「御先でーす。」っと軽く挨拶をする。
いつもならば、ここで「おう。」と言われ終わるのだが今日は違っていた。
「昴。最近の噂は聞いているか?」
お金から目を離さずに、昴へ問いかける。
しばし、沈黙が続くと昴は、フッと苦笑いを浮かべる。
「・・もう、俺には関係ありませんよ。」
「そうか・・。そうだな。」
「はい。では。」
「おう。気をつけてな。」
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