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まるで猫のように、軽やかに着地。
そして地に転がった水晶体を持ち上げる。
水晶体自体は、彼女の手手中に収まる程度の大きさ。
不意に彼女は視界を閉ざし、手に持ったそれに集中。
途端に水晶体が輝きを放ち始めた。
「・・・外れね。さてと。」
開かれた瞳はギラリと光っており、怒気が含まれている。
そのまま回れ右を、俊敏性が伺える速さで決める。
「あれぇ!?」
だが、そこに怒りの対象である昴は居なかった。
―――
あの場から逃走した彼は、とある公園を訪れていた。
ベンチに座り、顔を両手で押さえている。
「やっちった・・・。」
彼の周囲を哀の空気が漂う。
勿論、発生源は昴自身である。
「よりによって霊滅師を助けようとするなんて・・・。」
ため息を1度・・また1度と漏らし、おもむろに腰を上げた。
「職場はバレてるし、制服で学校も知られたよな・・。」
哀愁を撒き散らしながら帰路に着く。
やがて木造の立派な屋敷が見えてきた。
その門を潜る際、右手で空を払う。
「ただいま~。」
「お帰りなさい、兄さん。」
「あぁ。雪風[ゆきかぜ]ただいま。」
玄関まで昴を出迎える雪風と呼ばれた少女。
綺麗でユルユルとパーマのかかった栗色の髪。
綺麗顔立ちで足も長い。
まさに美少女がそこにいた。
雪風は昴から鞄を受け取る。
その際、彼女の顔があからさまに曇った。
「兄さん、どうしたんですか?」
「あ~うん。さっきさ・・猿鬼に襲われている一般人助けるつもりが・・霊滅師だった。」
「え・・?」
「しかも、職場も学校も知られた・・。」
「そんな…!なにしちゃってるんですか!!?」
妹による説教タイムの開始だった。
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