第1章 紅き炎の乙女  壱

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場所は玄関から座敷へ移り変わる。 2人は正座で向かい合っているが、視線は交わっていない。 昴は冷や汗を掻きながら畳を見つめ、雪風は冷めた眼差しで昴の頭を凝視していた。 「いいですか?そもそも兄さんは退役した身。妖魔は、その地区担当の霊滅部隊か霊滅師に任せておけばいいんです。なのに…な・の・にっ!何勝手に手出ししてるんですか!しかも霊滅師を助けたなどと言う始末…。聞いてるんですか兄さん!!?」 「はい!聞いております!!」 「私の言いたいこと…解りますね?」 「…はい。以後、気を付けます。」 以上が、正座で1時間近く行われた雪風の説教タイムの一部であった。 妹の身体から絶えず放たれる(お前、殺すぞコラァッ!)っと言う、殺気に昴は只々、小さくなる事と返事しか出来ずにいた。 そんな中、出入りをする襖が開かれ、ジャージ姿の若い女性が入ってきた。 「おいおい。なんの騒ぎだね?これは。」 「明さんお帰りなさい。聞いてください。兄さんったら――」
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