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時刻は午前九時前。
天月高校の2年2組の教室内で冷汗をたっぷり掻いている人物が居た。
昴だった。
彼の視線の先―
教卓の横にその原因が居た。
「えー転入生だ。ほれ、自己紹介しろ。」
全くやる気を感じさせない明の隣に立つ少女。
彼女は黒板に丁寧且つ、綺麗な字で文字を書く。
そして、笑顔で振り返り、明るく自己紹介を始めた。
「今日からこのクラスに転入してきました。来栖朱音[くるすあかね]です。よろしく―」
「あ。」
一瞬、昴と視線が交わった。
「お願いします!」
彼女は笑顔だ。
しかし、視線の交わったあの一瞬だけ、冷たく怒気を含んだ瞳で昴を見ていた。
よし…仕方がない。っと心で自分を納得させ、椅子から立ち上がる。
「先生…腹痛と頭痛と殺気がヤバいので保険室に行ってきます!!」
「あっ!?」
彼は妹に宣言した通り、朱音と逢った為逃走を開始。
もの凄い速さで教室内から逃げ出したのだった。
「よーし教科書開けぇ。」
「普通に授業始める!?」
昴を気にも留めず、授業を始めた明に朱音はクラス代表でツッコミを入れていた。
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