第12話 いつか忘れるモノ

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その日は少し肌寒い風が吹いていた。 文化祭を間近に控えた秋の日。 私はイツキと一緒に町へと繰り出した。 「ねぇイツキ、町へ出たのこの時代に来てからどれくらいある?」 「そうですね、中心街まではまだ一度もありません。近場のスーパーになら買い出しに行ったりしていますが」 「じゃあ行ってみよっか」 「はい、よろしくお願いします」 私は彼の手を掴んで、町の中へと向かった。 これと言って何かする事がある訳じゃないけど、デートと言えばまずは散策。 中心街のアーケード通りまで案内すると、彼は少し興奮気味に回りを見渡した。 「すごいですね。これがアーケード通りなんですか……」 「見るの初めて?」
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