第12話 いつか忘れるモノ

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この時代の名残が六十年後も残ってると聞くと何だか嬉しい。 「せっかくだし、何かお願いしていこうよ」 お賽銭箱に小銭を投げ入れて、私たちは手を合わせた。 「何をお願いしたんですか?」 「うまくいきますようにって、修学旅行の日にさ。イツキは?」 「ヒミツです」 「え!何それずるい!教えてよ!」 彼は頭を掻いて少し照れながら教えてくれた。 「あなたの進む先に、光の満ちた未来が待ってますように、そうお願いしました」 「え……あ、うん……。ありがとう……」 不意打ち過ぎて胸の鼓動が高鳴ってしまう。 こうしてイツキと一緒に居られる時間がやけにいとおしい。
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