8人が本棚に入れています
本棚に追加
うすぼんやりとした意識は、無理やり浮上させる。
「先日ぶりです……ルシフェル、と、お久しぶりです、バアル。それは、そうと……身体がとても痛いのですが、……理由を教えてくださいまし」
言葉に詰まるルシフェルと、視線を反らすバアル。
「……」
流れた沈黙、彼女が見たのは崩れた壁。
ゆるい動作で半身を起こし、ルシフェルへと向き直る。
「申し訳ありません、……。今すぐに、とはいきませんが、しばらく休んでから直しますので」
「いえ、問題はありません。ここはバアルにやらせますので、じっくりと身体を休めてください」
「えー、せっかくベルもやるって言ってくれてるんだしここは任せても」
「あなたは黙っていてください」
わちゃわちゃと、揉める声。
はてな、決着がつくのはいつになるのやら。
そうして、そんな彼らを見やる影。
ルシフェルの城の、上空遥か。
黄色い情報屋は、ぽかんと口を開けていた。
開かれていたノートに書くつもりだったのに、ぱたんと音をたてて閉じられて。
懐深くに直し、彼女はゆるく視線を揺らす。
「こいつぁ大ニュースだねぇ。……でも、世界中に流すのは、まだ時じゃない」
緩やかに口角を上げ、ごうと音をたてて風を切る。
言い争う魔王たちは気付かない。
低く音をたて、消えた黄色。
「楽しくなりそうだねぇ」
呟きは、彼方へと霧散する。
To Be Countinued……?
最初のコメントを投稿しよう!