◆◆

9/23
前へ
/38ページ
次へ
「ねぇ・・・、一体何だって言うの・・・? ちゃんと説明してくれなきゃ、私だって納得いかないよ!」 我慢していたものが一気に溢れ出してくる。 堪えていた涙は瞼の堤防を崩壊させ、全身を震えが襲う。 しかし毅一は黙ったままで、項垂れたまま「ごめん」とただ繰り返すだけだった。 「どうして何も言ってくれないの・・・? どんな事でもいいから、ちゃんと話して欲しい・・・。」 涙を浮かべたまま、真剣な表情で毅一の顔を見つめる。 毅一はちらちらと私の様子を伺いながら、観念するかのように溜め息を吐いた。 「もしかして・・・、好きな人ができた・・・とか?」 思い浮かぶのは、助手席の灰皿にあったタバコの吸い殻。 私も一応喫煙者だ。 だけどあの吸い殻はまだ新しく、私が吸っているタバコとは銘柄が違う。 私のカマ掛けに、毅一は明らかに動揺している。 ・・・きっと、図星なんだ。 しかし、相手は一体誰なのだろう。 これだけ事実を明かさず渋っている様子を見ると、もしかして・・・。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

233人が本棚に入れています
本棚に追加