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「ねぇ・・・、一体何だって言うの・・・?
ちゃんと説明してくれなきゃ、私だって納得いかないよ!」
我慢していたものが一気に溢れ出してくる。
堪えていた涙は瞼の堤防を崩壊させ、全身を震えが襲う。
しかし毅一は黙ったままで、項垂れたまま「ごめん」とただ繰り返すだけだった。
「どうして何も言ってくれないの・・・?
どんな事でもいいから、ちゃんと話して欲しい・・・。」
涙を浮かべたまま、真剣な表情で毅一の顔を見つめる。
毅一はちらちらと私の様子を伺いながら、観念するかのように溜め息を吐いた。
「もしかして・・・、好きな人ができた・・・とか?」
思い浮かぶのは、助手席の灰皿にあったタバコの吸い殻。
私も一応喫煙者だ。
だけどあの吸い殻はまだ新しく、私が吸っているタバコとは銘柄が違う。
私のカマ掛けに、毅一は明らかに動揺している。
・・・きっと、図星なんだ。
しかし、相手は一体誰なのだろう。
これだけ事実を明かさず渋っている様子を見ると、もしかして・・・。
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