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…パタン。
渉さんがいなくなり、ドアが閉まると、両手で顔を覆う。
…熱い。
「もう…ここは会社ですよ」
ドアに向かって独り言を呟く。
するとそのドアが急に開けられたので、驚きでカラダがわずかに跳ねた。
「失礼しまーす」
顔を覗かせたのは理央だった。
理央は渉さんがいないのでノックもせずに入ってきた。
「どうしたの?」
「モンスターが携帯忘れたから、望愛に第二会議室まで持って来させろってさ。内線きたよ」
「え?あ、あ、ホントだ!」
理央の言葉に私は慌ててデスクの上を見た。渉さんの黒い携帯が置かれたままだった。
「やだ…気付かなかった」
私は携帯を手にしてドアに向かった。
そして、ドアを開ける前に理央に言う。
「社長のこと…『モンスター』って呼ばないの」
「だって~、モンスターなんだもん」
「もう…。とにかく行ってくるね」
「はいはーい。いってらっしゃい」
私は理央より先に社長室を出た。
もう…
渉さんは…
私だけのMONSTERなのに
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