危険なメール

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そして、室長はため息をつきながら言った。 「ちゃんと報告を受けてる。書類の一つも管理できない奴に、誰も仕事は頼まない。デスクの整理を社長に言われてるんだろ?まずはそこからだ。それが出来ないなら、それ以上も出来ない。仕事の出来ない奴はここにはいらない」 阿部さんはさっきから室長の言葉に何も言い返せずに、ただ不満気な表情を浮かべるだけだった。 私は彼に視線を向けた。 どうしてか憐(アワ)れむような気持ちになってしまった。 私は野崎さんを出口に促して、室長に視線で合図した。 もう、私たちがここにいる意味はない。 「行こう」 室長がドアを開けて、私たち二人を先に部屋から出した。 私は小さな声で彼に言った。 「…お疲れ様でした」 人は…自分の意志で変わることができる。 ねえ…渉さん。 そうだよね?
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