予期せぬ予感【室長side】

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お昼休みまで、私は彼女の視線を気にしながら仕事をこなした。 それは居心地のいいものではなかったけれど、 私も社会人というものになって、随分とたくましくなったと自負している。 会社で働くという…人生初の体験は私を大きく変えた。 家にいて、運転手付きの車に乗って、買い物して、食事に行って、エステも行って、支払いは全て親のお金。 自分の家は裕福だと思っていたけれど、私の両親だって、何もしないでお金を得ているわけではない…ということ初めて知った。 世間知らずで自分勝手でわがままな… お嬢様。 この会社に入社した時には、周りの誰もがそう思っていただろう。 だけど、そんな他人の評価なんてどうでもよかった。 もともと働きたくてここに来たわけではなかったから。
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