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桐谷君と別れ、彼女と二人で階段を降りる。
静かな階段に二人の足音が少しずれて響いている。
「…大丈夫か?」
彼女は歩みを緩めて俺を見上げる。
小柄な彼女は随分と顔も小さい。
小さな顔の大きな瞳が見開いて…そしてすぐに視線を逸らす。
「は…はい。大丈夫です。まさか…菊森室長が来てくれるとは…思ってませんでした…」
「桐谷君が一緒に来てくれと言ったんだ。彼女の判断は正しい。さっきも言ったが、どうして一人でなんて行ったんだ?」
「…こんなこと…お願い出来る人なんていないですし…」
「一人も?」
「…はい。女子に相談しても巻き込むだけかな…と思って、かといって…相談できる男の人はいませんし…」
「…行って…良かったよ。これからは困った時には相談しなさい」
「…は…い」
彼女はそう答えた後に付け足した。
「…菊森室長とお話ししてるなんて…なんだか信じられません…」
「どうして?」
「だって…雲の上の人ですもん」
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