【既望】

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  本宮と名の付いた地の境から、もう暫く馬を駆らせた所。 (あれは…門か?) 馬までが警戒を示して歩みを止める程だ。 其処から先は己が身を賭して進むしか無い。 政宗たちは馬を降り、近付く度に増して行く威圧感にただ口を噤み進んで行く。 (傷が、疼く。) 充満する悍ましい空気が犇々と、政宗の精神を蝕もうとしている。 久しく嗅ぐことも無かった、血の臭い。 視界から消え去ってしまっていた、人の狂気――――… この【搭】は安易に、政宗にかつての戦乱を思い出させた。  
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