狡縢小説

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~~~~ 「縢、明日から3日間お前は休みだ」 ホワイドデー前日、帰り際に突然宜野座は彼にそう言った 「へっ?」 「勘違いするな 俺は常守監視官が言い出してスケジュールの休みを早めただけだ」 伊達である眼鏡を直すと、宜野座は口端を緩めた 「バレンタインの返しだ、美味かったぞ、チョコ」 そう言って宜野座は一係に消えた ~~~~ 「部屋入るぞ」 その夜、狡噛が縢の部屋を訪れた 「コウちゃん……」 「何だ、人を珍獣を見る目で見て」 縢が驚いたのも無理はない 狡噛が部屋を訪れたのは日付が丁度変わったとき 狡噛が部屋に来るとしても、こんな時間に来たのは初めてだった 「コウちゃん、明日は非番じゃないんじゃ…」 「ああ… 常守監視官とギノに頼んでお前と休みを同じにして貰った 3日間、お前と過ごせる」 狡噛はそう言って縢を押し倒した 「……俺も、お前の恋人で良かったと思っている」 狡噛は驚く縢の手を握った 「お前を愛して、お前に触れて、俺は幸せに感じている 執行官になって、俺には何も無かったからただがむしゃらに生きるだけだった… でも、今はお前がいる お前という大切な存在があるから…守りたいから今の俺がいる」 「コウちゃん………!…」 狡噛はラッピングされた小さなチョコレートをかがりに差し出した そのラッピングのリボンに黒赤色の薔薇の描かれたカードが添えられていた 「縢、そのカードが俺の気持ちだ」 「えっ?どういうこと?」 「すぐ分かったらつまらねぇだろ?」 そう言って狡噛は優しく、けれど大切にかがりにキスをした 2人の重なる唇 それをカードの薔薇が静かに見守っていた 黒赤色の薔薇の花言葉… 『決して滅びることの無い愛』 fin
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