ツェザプ小説

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「おはようございます」 バーガーが入った紙袋を抱えオフィスに入り、いつものようにレオナルド・ウォッチが挨拶をする。 しかし、レオの挨拶に返事はなく、代わりにライブラ一員全員がレオを見る。 「ど、どうしたっすか…?」 「いや、おはよう少年」 ライブラ副官のスティーブンは何事もないように笑うが、何かあったと疲労が溜まっているような顔に書いてある。 「レオっち、昨日ザップっちとツェッドっちに何かあった?」 疲れた様子のスティーブンと対照的に、K・Kは楽しそうに訊ねてくる。 確かによく見ると、顔を合わせればいつまでも言い合いをするザップとツェッドの姿がない。 「昨日?昨日は……」 レオは昨日の出来事を思い出す。 昼食に2人を誘い、寿司屋の前でザップが共食いとからかい、ツェッドが低脳と返して火花を散らし始めると、腹いせにザップが見るからに危ない連中にカツアゲをやり出した。 結果はザップの圧勝だったが、兄弟子の行動に一言言おうとツェッドが近づいたそのとき、連中の1人が頭からガスのようなものを吹き出した。 毒ガスかと思われたが、2人が咳き込むだけで異変は起こらず、息の合った斗流血法で壊滅させたのだ。 「それだ…」 スティーブンははぁ…と溜め息をつく。 チェインは何とも言えない表情をしており、ギルベルトは微笑んでいる。 そして、ライブラのリーダーであるクラウスは挙動不審に左右の部屋の隅を見ている。 「クラウスさん、何を見て…」 クラウスの視線を追ったレオの言葉が途切れる。 右の隅には黒いタートルネックをワンピースのように着た銀髪褐色肌の子供がウー…とクラウスを威嚇し、左の隅では黒いノースリーブを同じように着た半人半魚の子供が縮こまっている。
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