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…あっぶなかった…。
もう少しでイケメンとの繋がりが出来てしまうところだった。
息を整えながらタクシーを呼んで、家に着いたのは9時半だった。
一人暮らしのアパート。
真っ暗なこの部屋に帰ってくるのにはもう慣れた。
手を洗うとき、小指に手をかけて気づいた。指輪が無いことに。
「あの人が持ったままだ…」
……ま、いいか。
もう会うこともないだろうし。
あれ、要らないし。
あ、でも指輪に付いたピンクダイヤモンド…あれって高いんだっけ?
………売ればよかった。
小さな後悔だ。
あの指輪、可愛いくてお気に入りだったんだけどね。私好みで。
あのデブ…じゃなくて、元彼、金持ちでさ、すんなりピンクダイヤモンドの指輪買ってくれて…あの時は見直したなぁ。
なんて。
別れた男に貰った指輪なんかしてたら未練タラタラに見えるか……ヤダヤダ…。
あいつにゾッコンな私を想像して寒気がした。
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