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「そう言えばおまえの名前は?」
名前?そんなの知らない。
「わかりません…ずっと牢の中にいたので」
「お前…」
そうだ…僕は自分のことを知らない。どこの誰で両親は誰なのか、そして何者なのか。
「記憶がないんです。いつから牢にいたのかも自分のことも…」
「…よしっ!ここに住め。」
がたいのいい中年の男の人が眩しい笑みを向けている。
「でも…」
「気にするな…どうせ一人暮らしだし一つ部屋が余ってるしな!だが、条件がある」
「条件?」
「BARをやっているんだがその手伝いをすること。どうだ?」
僕には行くところもない。それにこの人は良い人そうだし助けてもらったお礼をしたい。
「…はい。よろしくお願いします」
「それと名前だが…雨音、柊 雨音。どうだ?因みに俺は柊 陽一だ」
この日から僕は陽一さんの養子になった。手続きもして息子になり気がつくと陽一さんと会って一年が経っていた。
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