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「違うんです…大丈夫ですから…」
僕はおびえていた。今の自分と前の自分、二人いるわけで前の自分に戻りたくないのに戻ってしまいそうで、怖い。
泣いて目をはらしてしまった僕は仕事からあがっていいと陽一さんに言われ一足先に帰り道を歩いていた。
「可愛い子だね~遊ばない?」
考え事をしながら歩いていたらいつの間にか男たちに囲まれてしまっていた。
「僕、男なんですが…」
「わかってるよ…でもこんな別嬪さんをおがめねぇし」
「ほんと…女みたいな顔…」
どうすればいいのだろうか…怖い。
「お前ら!何やってる!?」
「ボッボス…!」
あっ…
「お前…大丈夫なのか?」
あの時、声をかけてくれた人だ。なま暖かい風が吹くと同時に花の香りがした。
この香り…
『清…僕の大切な清…』
この人からの香りを僕は知っている。清…?ったいだれなんだ?
「ボスの知り合いなんですか?」
「こいつに手を出すな!それ以外の奴もだ!組の名前を汚すようなことはあの事件だけでいい」
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