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「紅……知ってる?」
「…言うから!言うから殺さないでくれ!6年前に紅が滅んだって聞いた!紅は刈谷組が仕切っていたって聞いた!それしかしらねぇ!」
あれから5年、僕はあちこちを転々とした。住む場所を特定せずホテルなどに泊まり陽一さんを殺した復讐と紅のことを知るため。それにまた陽一さんのように僕のせいで死んでほしくない。
「そう…」
牢からでて陽一さんと暮らしていたときは幸せで世界が明るく見えたのに今では牢の中となんら変わりない。
僕は今までいつの間にか人が死んでいることに疑問を持っていたが最近わかった。僕には異常な運動能力がありそれが僕の怒りと同時に活発になりそして怒りに包まれ我を忘れてしまうのだ。
でも最近はコントロールができるようになってきた。
乾いたコンクリート、汚れていて所々にゴミが落ちている路地裏。薬に依存してしまい自分を失って座り込んでいる輩。
僕はまた牢の中でさまよっている感覚に包まれそうになる度に吐き気を催す。
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