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「リーコになんか渡さないよ。力ずくでも奪っちゃうからさ」
そして今日の駿もいつもとは違っていた。
ハッキリと振ったあの日から身を潜めていた虎が、ここに来てようやく獲物に向かって歩み寄ろうとしている。
この旅行で何かが起きると知っていたけど、ここに来てそれがようやく実感出来た。
「……」
そんな中にいつも通り寡黙な瑞希君が登場すると、珍しく私の方をじっと見つめる。
他の女子からの熱い視線なんて気にせず、私の方をただ真っ直ぐに見つめていた。
その視線でさらに現実味を帯びていく。
17日に、間違いなく二人はぶつかり合う。
そして瑞希君は命を落とす事になる。
私が変えなければいけない運命だ。
「玲美、バスに乗る時間だよ」
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