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そんな私のシャツの裾が、何かに引っ張られる。
「え…っ?」
振り向くと、優の手が私のシャツを掴んでいた。
「すぐにやるから持って」
しっかりとシャツを握りしめて私を掴まえているくせに、視線だけは絶対に私を捕まえない。
「優もそう言ってるし、どうぞ?」
にこっと笑い自分の隣の椅子を、私のために引いてくれる奈々。
「あ、りがと……」
私の言葉を聞いて、ようやく優は掴んでいた裾を離してくれる。
奈々が引いてくれた椅子に腰を下ろすと、隣に座る奈々からふわりといい香りがした。
少し甘くって。
でも爽やかな香り。
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