第7話*交わる視線、交わる気持ち

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「見て!美男美女!」 注文した商品を待っている間、後ろから聞こえた女子高生の声に視線を向けた。 「あんなカップル、本当にいるんだね」 きゃあきゃあと騒ぐ先には優と奈々がいて、私から見てもお似合いだ。 イラストを描く優の髪を引っ張ったりして…。 そんな奈々の手を払いながらも、少し笑ったりして…。 もう見ていたくないのに、なぜか目が反らせない。 2人があまりにも似合いすぎて、笑いさえ出てきそうだった。 「お待たせしました」 店員さんからジュースを受け取ったものの、私は戻ることが出来なくて。 泣きたくなる気持ちさえも、心に無い。 ただ自分が情けなくて。 バカみたいで。 私はダストボックスの前に立ちすくみ、しばらく身動きが取れないでいた。
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