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しばらくして、私は席に戻った。
「歯ブラシにリボンつけてよ」
「やだ」
「やだじゃなくてさぁ。リボンつけると可愛いよ?」
愛おしそうに優を見つめる奈々の眼差し。
差し出す言葉。
「こっちの歯ブラシはネクタイね?」
「……もう黙ってろよ」
「えー、じゃあ勝手に書き足しちゃおっと」
もう嫉妬とか、そういうレベルの問題じゃない。
奈々と私は優が好き。
だけど、優は奈々の事が…、多分好き。
私と優は偽装恋人で、奈々と優は本物の恋人かもしれない。
でも優と私はキスしたりしてて。
でもでも、優と奈々はもっと……。
頭がおかしくなりそうな空間で、頭がおかしくなりそうな事を考える。
私はジュースを飲んだ。
喉を通るその冷たい液体だけが私を正気で居させてくれたけど、味なんてわからなかった。
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