第7話*交わる視線、交わる気持ち

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奈々の気配が遠ざかると、優は再び紙に視線を落とす。 心臓を刺す痛みに、もう耐えられそうに無い。 そんな私に気付かない優は、ペンを持つ手を止めた。 視線は紙に向けたまま、私に放つ優の言葉。 「恋人役っていつまで続けんの?」 ただでさえ鳴りっぱなし。 何かが刺さりっぱなしの胸が縮まっていく。 「い、嫌になった?」 震える手で水滴のついたグラスを握りながら尋ねる私に、優は何も答えない。
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