第10話*追いかけごっこ

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「何やってんだよ」 しゃがみこんで涙目の私に、あきれたような視線を落とす。 はぁ。 と大きなため息をつき、その男に握られた私の手首をぐいっと引っ張ると。 「触ってんじゃねぇよ」 そういい呆然と優に見とれる男から、私を奪い取る。 あんなに引っ張っても解けなかったのに、するりと抜けた私の手。 ――誰、この男。 制服の時よりも数段格好良さを増した優に、さっきまでの恐怖を忘れて見入ってしまう。 人並みを早足で掻き分け歩く姿に、みんなが振り返る。
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