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「何やってんだよ」
しゃがみこんで涙目の私に、あきれたような視線を落とす。
はぁ。
と大きなため息をつき、その男に握られた私の手首をぐいっと引っ張ると。
「触ってんじゃねぇよ」
そういい呆然と優に見とれる男から、私を奪い取る。
あんなに引っ張っても解けなかったのに、するりと抜けた私の手。
――誰、この男。
制服の時よりも数段格好良さを増した優に、さっきまでの恐怖を忘れて見入ってしまう。
人並みを早足で掻き分け歩く姿に、みんなが振り返る。
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