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5分ほど引っ張られた先には、落ち着いた雰囲気のカフェがあった。
私の手を解き、何も言わず優はそのドアを開ける。
奈々にはコンビニのドアを開けてあげていたのに、なんて言わない。
私を置いてスタスタと店内の奥へと進んでいく優の背中を、慌てて追いかけた。
大きな窓から差し込む太陽の光と、珍しい観葉植物が彩るそのカフェは、私たちより少しだけ年齢層の高い客層でにぎわっていた。
「いらっしゃいませ」
上品なウェイターがグラスとメニューを持ってくる。
「よく来るの?」
そんな私の質問に、メニュー越しにちらりと目線を寄越す。
「潤とたまに」
聞きなれないその名前に“?”を浮かべる私。
優は、
「山田潤」
と、名前に苗字をつけたしてくれた。
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