第10話*追いかけごっこ

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絶対に鳴らないってわかっていながら、ある番号を指定着信に設定していた。 大好きなアーティストの一番好きな曲。 そんな曲が、虹色の着信ランプとともに日曜日の朝。 ベッドの枕元で鳴り響く。 私はお気に入りの曲を寝ぼけた頭で聴いていたんだけど、その曲にハッとして飛び起きた。 ――この着信音! 「えっ?な、なんでっ?」 そこに表示される『優』の文字。 私は戸惑いと寝起きの声を隠せず電話に出た。 「も、もしもし?」 「伊東だけど…」 「う、うん。わかるよっ」 そんな会話から始まった優との電話。
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